サガリ花 2006年7月8日
朝4時。
街灯一つない真っ暗な夜道をカヤック満載の車で西表島のサガリ花がたくさん見られるという前良川へ向かう。
まだ、誰もいない静粛に包まれた河口でカヤックを下ろし、真っ暗な川をライトなしで上流へ向かって進む。
川幅もよくわからないような闇になぜかワクワクしてしまう。
次第に目がなれてくると、頭のてっぺんは、ドワーッと、ありえない数の星たちがきらきら音を立てている。
まるで、星がつかめそうだ。ぐいっと、手を伸ばすと、船のバランスが崩れ、我に返った。
気がつくと、だいぶ上流まで上ってきた。
ぐわぁあああーーーーーーーん!
突然、チョコを溶かしているときに出ているような強くてふかーい甘い香りが僕の脳天にパンチした!!
ぐわぁあああーーーーーーーん!
また、きた!!!
辺りを見回すと、真っ暗な中白い花がボワーっと、ブドウの房のように宙にたくさん連なりゆらゆら揺れている。
おおおおおおおおおおおお!!
これが、サガリ花か???
サガリ花が咲いているところを始めて目撃した僕の心は、リズミカルに踊り始めた。昼間、この花が地面に落ちているのとは全く違う!!
なんてか、覇気が違う。とても、生きている感じがする。
通常、このサガリ花は、夜に咲き始め、朝日が昇り始めると花が落ちてしまうとっても不思議な花だ。あと、匂いもぜんぜん異なる。花が落ちて一、二時間たったあとでは、匂いがないに等しいといっても間違いではないと思う。
それくらいすごい強烈な眩しさのある香りだ。
その証拠に、蜂がすごい。これがほんとにすごい!
落ちる直前の花にブンブンブンブン朝の静けさをかき消す暴走族だ。うるさいくらいブンブンブンブン言っている。
次第に明るくなり始める。
くっきりと輪郭が見えてきた。
ボチャッ!!ボチャ!!
花が落ち始めてきた。
あまりに短すぎる花の一生だ。なぜ、こんなに短いんでしょうか??
夜誰にも見られることなく咲き、誰にも見られることなく散ってしまう。
ああああ、なんて切ないんでしょう。。。
いったい誰のために咲いているんでしょうか??
こんなに美しくて濃厚な甘さを含んだ誘惑は、いったい誰のためなんでしょうか??
自然はおっきいですね。わからないことが多すぎます。
川に落ち始めた花は、緩やかな流れに乗り、河口へ川を真っ白に覆い尽くしながら流れはじめました。
朝日に照らされて白やピンクの花たちは、よりいっそう輝く。